ちょっとした話


ジェイ教育セミナー太子校 阪本

太子校で授業をしている阪本です。算数・数学や理科を担当しています。
日々授業をしていると、「5分ほど授業時間が余る」ということが、まれにあります。
生徒さんは「早く終わって!」と私に頼むことが多いですが、そんなに早くは終われません。
「あなたたちに伝えたいことが、先生(私)にはたくさんあるんですよ」と言いながら、「ちょっとした話」をさせてもらっています。例えば、こんな話です。

「正露丸」を知っていますか? 「ラッパのマークの正露丸、おなかによくきく正露丸…」という感じのコマーシャルが有名です。おなかが痛いときに飲む薬で、おもに胃や腸の調子を整える効能があります。「整腸剤」と呼ばれることもあります。

もともとは、「征露丸」という漢字を使っていました。なんでこんな名前がついたのでしょうか?
実は、漢字に大きな意味があります。「征」は征伐、「露」はロシア、「丸」は丸薬を表しています。
「征露丸」は、ロシアを征伐する目的でつくられた丸薬なのです。ラッパのマークは、軍隊の進軍ラッパを表しており、1900年頃の陸軍の軍医が「征露丸」をつくった、という記録が残っています。
1900年頃といえば、日露戦争があったときです。なんで日露戦争に「正露丸」が関係あるのでしょうか?
(ちなみに、授業の時ならば、ここで誰かに理由を考えてもらいますが、今回はそのまま話を続けます)

実は、日清戦争のときに日本の軍隊は、不衛生な水源による伝染病などに苦しめられていました。当時の日本の軍隊の兵士は大変優秀だったそうですが、さすがに水を飲まずに生きていくことはできません。
現地の水を飲んだ後、多くの兵士が下痢や水あたりに苦しんだそうです。
その反省に立って、「日露戦争では同じ失敗を繰り返さない」という意気込みで「征露丸」を開発したのです。

さっきまで、「早く帰りたい!」と言っていた生徒さんの多くが、おとなしく話を聞いてくれたりすると、心の中で、「やった、この話は使えるぞ」と私は叫び、また次の機会を虎視眈々と狙っています。
勿論、教科の授業の時間がまず大切ですから、そこを踏み外さないように生徒さんには伝えますけれども。
ちなみに、この話にはまだ続きがありますが、それは別の機会に…。