北原白秋「五十音」
ジェイ教育セミナー西飾磨校 長谷川
自身が高校生の時、生徒会室で会議をしていると毎日聞こえてくるフレーズがありました。晴れた日は横にある校舎のベランダで演劇部が発声練習をしていました。
まずは、一音ずつ区切って、
あ・え・い・う・え・お・あ・お
か・け・き・く・け・こ・か・こ
さ・せ・し・す・せ・そ・さ・そ
た・て・ち・つ・て・と・た・と
な・ね・に・ぬ・ね・の・な・の
は・へ・ひ・ふ・へ・ほ・は・ほ
ま・め・み・む・め・も・ま・も
や・え・い・ゆ・え・よ・や・よ
ら・れ・り・る・れ・ろ・ら・ろ
わ・え・い・う・え・を・わ・を
次に区切らずになめらかに、
あえいうえおあお
かけきくけこかこ
させしすせそさそ
たてちつてとたと
なねにぬねのなの
はへひふへほはほ
まめみむめもまも
やえいゆえよやよ
られりるれろらろ
わえいうえをわを
「あえいうえおあお、かけきくけこかこ…」が終わると、お次は「北原白秋『五十音』』という部長の声に続いて、
水(あめ)馬(んぼ)赤いな。ア、イ、ウ、エ、オ。
浮(うき)藻(も)に小蝦(こえび)もおよいでる。
柿の木、栗の木。カ、キ、ク、ケ、コ。
啄木鳥(きつつき)、こつこつ、枯れけやき。
大角(ささ)豆(げ)に酢をかけ、サ、シ、ス、セ、ソ。
その魚(うお)浅瀬で刺しました。
立ちましょ喇叭(らっぱ)で、タ、チ、ツ、テ、ト。
トテトテタッタと飛び立った。
蛞蝓(なめくじ)のろのろ、ナ、ニ、ヌ、ネ、ノ。
納戸(なんど)にぬめってなにねばる。
鳩ぽっぽ、ほろほろ、ハ、ヒ、フ、ヘ、ホ。
日向(ひなた)のお部屋にゃ笛を吹く。
蝸牛(まいまい)螺旋巻(ねじまき)、マ、ミ、ム、メ、モ。
梅の実落ちても見もしまい。
焼栗、ゆで栗、ヤ、イ、ユ、エ、ヨ。
山田に灯(ひ)のつく宵の家。
雷鳥は寒かろ、ラ、リ、ル、レ、ロ。
蓮(れん)花(げ)が咲いたら、瑠璃(るり)の鳥。
わい、わい、わっしょい。ワ、ヰ、ウ、ヱ、ヲ。
植木屋(うえきや)、井戸換(いどがえ)へ、お祭だ。
※なぜか、うちの演劇部では「…お祭だ。」の後に「わー!」がついていました(笑)。
毎日毎日聞いていたので、いつの間にやら生徒会メンバーは覚えてしまって、演劇部が「水馬赤いな。ア、イ、ウ、エ、オ。」とやりだすと、生徒会メンバーも「水馬赤いな。ア、イ、ウ、エ、オ。浮藻に小蝦もおよいでる…」と続けるようになりました。
ただ、この仕事について、大きな会場で説明会などがあるときには、「あえいうえおあお」と「水馬赤いな。ア、イ、ウ、エ、オ。」を講演前に一人で発声練習しています。車の運転中に練習しているときなど、信号待ちの時、横のドライバーから「何、この人?」という顔をされることもありますが、こっちは必死なのであえて気づかないふりをして練習しつづけます。
将来、人前で何か話す機会があったら、ぜひ「あえいうえおあお」と「水馬赤いな。ア、イ、ウ、エ、オ。」で練習してみてください。滑舌が良くなりますよ。
ちなみに、この北原白秋『五十音』は、すべて四・四・五の定型詩になっています。とてもリズム感があり、覚えやすく、演劇関係者やアナウンサー、声優の方なども発声練習によく使っているそうです。