ジェームズ・ヘボンという方を知っていますか?


 ジェイ教育セミナー国語科 竹井

今日は、中学生(小学生)のみなさんに関係する人物を紹介したいと思います。

ジェームズ・ヘボン、という方をご存じでしょうか。おそらく、これだけでは、“ピン”とこないと思います。「ヘボン」だけを聞くとどうでしょうか? そうですね、中学生のみなさんであれば、1年生の英語を勉強し始めた時、「ヘボン式ローマ字」を学習しましたよね。その、「ローマ字」を考案した人なんです。この方が、亡くなったのが、明治44年(1911年)9月21日、96歳の時でした。

実はこの方、元々はお医者様で、明治時代に、医療宣教師として日本へやって来て、病人の治療を行う傍ら、英語の指導を行う中で、「ヘボン式ローマ字」を考案したそうです。まず初めに、日本の神奈川(横浜)に来て33年間日本で暮らし、日本の近代化に大きく貢献しました。その内容は、大きく3つに分けることができます。①「医療活動」、②「和英辞典、英和辞典の編纂」、③「教育活動」です。


①「医療活動」について

江戸幕府は、キリスト教の布教は禁止していたのですが、宣教師による医療活動は黙認していました。ヘボンは神奈川に療養所を開き、身分を問わず無償で診察・治療にあたっていました。なんと、一日に100人以上の患者さんを診察することもあったそうです。


②「和英辞典、英和辞典の編纂」について

伝道のために聖書の日本語訳が必要と考え、医療活動の傍ら編纂活動を行い、日本初の本格的な「和英辞典」を1867年に完成させています。また、和英辞典の構成のために、「漢字・ひらがな・カタカナ」に続く4番目の表記方法として、「ヘボン式ローマ字」を考案し、これが現在もその恩恵を受けています。


③「教育活動」について

1863年に英語塾「ヘボン塾」が創設されました。当時としては考えられなかった「男女共学」で、ヘボン夫妻自らが生徒たちを教えていました。ここで学んだ人として知られているのが、首相・蔵相(現在の財務大臣)になったことがあった高橋是清や商社の三井物産を創設した益田孝らがいます。

ヘボンが生涯を通じて貫いたことが、「見返りを求めない」。この姿勢は、新約聖書の中にある

“Do for others what you want them to do for you.(人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなた方も人にしなさい。)

という表現に、当てはまる姿勢です。この“Do for others”の精神は、現代のわれわれも見習うべき精神のように思います。