今日は何の日?
ジェイ教育セミナー相生校 竹井
日本人である私たちにとっては想像するのが難しいことですが、第1次世界大戦がヨーロッパに与えた精神的な打撃には、計り知れないものがあったようです。
戦争の結果、古い血筋を誇る王家がいくつも倒れて民主制の国家が誕生したこと、史上初の社会主義国が誕生したこと、新たな独立国が誕生するなどして戦前の国境線が多く変更になったことなど、生き残った人たちは社会の大きな変革を目の当たりにすることになりました。ある人たちは、悲惨な結果しかもたらさなかった第1次世界大戦で、理性に基づく近代ヨーロッパの伝統は終末を迎えたと考え、従来の常識からはるかに自由な発想を行って、「アプレゲール(après-guerre)」と呼ばれるようになりました。その「アプレゲール」の思想の一部は、ダダイスムという形で大正から昭和の初期にかけての日本にももたらされました。
ダダイスムは、一口に言えば、反理性主義の立場に立ち、旧世代への反逆を掲げる一派ですが、今日のブログで紹介したい中原中也もまたダダイスムに影響された詩を書いた人として有名です。
トタンがセンベイ食べて
春の日の夕暮は静かです
アンダースローされた灰が蒼ざめて
春の日の夕暮は穏かです
ああ、案山子はないか――あるまい
馬嘶くか――嘶きもしまい
ただただ月の光のヌメランとするままに
従順なのは春の日の夕暮か
(「春の日の夕暮」冒頭)
どうでしょう。ダダとは何かを知るための一端にでもなればいいのですが・・・
詩人・中原中也は、1937年(昭和12年)今から83年くらい前の今日、10月22日に亡くなりました。彼の30年の破天荒な人生はWikipedia等でも紹介されているので、興味のある方はぜひ読んでいただければと思います。
小中学生の皆さんも高校になれば必ず読む(読まされる)著名な評論家に小林秀雄という人がいますが、その小林との複雑な交流関係が、もう20年以上も前に漫画化されていて、一時、私も面白く読んだことを覚えています。