ひなまつりの話
【 ジェイ教育セミナー太子校 阪本 】
太子校で算数や理科を担当している阪本です(5回目のブログです)。
今回はひなまつりの話をします。
2月末で、兵庫県下の緊急事態宣言も解除になりました。ようやく、いつもの3月の雰囲気を(少しですが)感じている人も増えてきたようです。
ところで、3月と言えば何といっても「ひなまつり」です。定番の「うれしいひなまつり」の歌が、様々な場所で流れています。「明かりをつけましょぼんぼりに~」で始まるこの歌。生徒さんに歌詞を聞いてみると、怪しげなものが続々と出てきます。「実は4番まであるのですよ」と私が話すと、「えーっ、知らんし…」という声が多数。
「仕方ないな、では4番の歌詞を教えてあげましょう」ともったいぶって、「着物を着替えて帯締めて…」と
書いて、「読み方、わかりますか?」と生徒さんに質問します。「楽勝やん、きものをきがえて…」と言ったら、こっちのものです。「残念、不正解です。」「えーっ、何で?」「どこが間違ってるの?」「先生が間違ってるんとちゃうの?」「いいえ、不正解です。」「おかしいな、どうなってんの?」国語が得意な生徒さんが頭を抱えるようすを見ると、思わずにやけてしまいます。
「わかりませんか? じゃあ、家で調べてきてもらおうか。今日の宿題にしましょう」「えーっ、何で漢字の読み方が算数の宿題になるの?」「やめて、これ以上宿題増えたら、ゲームの時間が無くなる!」「お願い、それだけはやめて。」微笑ましい(?)やりとりはほどほどにして、改めて正解を教えます。
「きものを『きかえて』おびしめて…、が正解です。」「えーっ、きがえて、じゃないの?」「何で?」「先生、教えて!」算数が得意な生徒さんも興味津々のようすです。「どうしても教えてほしいですか? でも小学生にはちょっと難しいからね~」「先生の意地悪、もったいぶらずに早く教えてよ!」様々な生徒さんの反応を見た後、ゆっくりと説明を始めます。
連濁(れんだく)って知ってますか? 複合語ができるときに、後ろの語に濁点がつくことです。「手紙」「夜空」「三日月」などがその例です。「着替える」は、「着る」と「替える」の2つを合わせていますが、「動きを表す言葉(いわゆる動詞)を2つ合わせるときはこの連濁が起こりにくい」というルールがあります。これに対して、「着替え」は「着る」と「替え」の2つを合わせていて、ここでは連濁が起こっています。よかったら、辞典で調べてみてください。新しい辞典は「きがえる」になっているものが多く、やや古い国語辞典は「きかえる」になっているものが多くなっています。最近は、テレビのニュースなどでも、「きかえる」という言い方はほとんど耳にしません。NHKのアナウンサーも、「きがえる」を第一の読み、「きかえる」を第二の読みとしているようです。(国語辞典編集者の方に、お聞きした話です)。
こんな話をすると、言葉の使い方に気を使う生徒さんが少しずつ増えてきます。ちなみに、NHKのアナウンサーの方は、「日本語発音アクセント辞典」に従って言葉の読みを確認し、立場や場面、地域などによって読みなどが変わることも調べているそうです。さすが、言葉のプロ、学ぶ点が多いです。