中学校の新教科書について


 【 ジェイ教育セミナー塾長 有働 】 



すでに報道を通じてご存じの方も多いとは思いますが、4月から中学校の教科書が新指導要領に即したものに変更されます。中でも、変更による影響が大きいのが英語の教科書です。今回のブログでは、英語の教科書がどのように変わるのか、また塾生の皆さんにはこの変更にどのように対応していただきたいのかを書いてみます。


【3学年共通】

2020年度まで、公立中学校の英語の教科書としては、姫路地区ではNew Crownが、西播ではNew Horizonが使われていました。2021年4月からこれが改められ、両地区ともNew Horizonが使われることになります。ただし、20年度までのNew Horizonと21年度からのNew Horizonとでは準拠する指導要領が異なるため、同じ教科書でも20年度とは特に単語の量、本文の長さにかなり歴然とした相違があります。


例として、旧版のNew Horizonの中1、Unit1 Part1では登場するワード数が14語だったのに対して、新版では同じUnit1 Part1で26語になっています。同じ中1の教科書で、Unit2のPart1を比較すると、旧版が18語、新版が実に61語になっています。より長い文章を読み、単語数も激増する教科書になっている点にご注意ください。

単語量を増やすには、暗記用のノートを1冊準備して、そのノートに筆記の練習をすることをお勧めします。その際に、発音もしながら書くと良いでしょう。4月の平常授業から導入するELST®を使い、発音やリスニング面も順次、鍛えていきましょう。



【新中1生】

 従来の教科書では、中1の英語はbe動詞を使った文から学習が始まっており、一般動詞の文が教科書に出てくるのは、5月から6月頃にかけてのことでした。これに対して、新しいNew HorizonではUnit0からbe動詞の文と一般動詞の文が混在しているほか、助動詞canも登場します。一般動詞やcanを用いた表現は小学校の英語の教科書でも扱われているため、生徒にとっては未習の内容ではありませんが、英語に対して苦手意識をもっている生徒さんであれば、まずは「be動詞の文と一般動詞の文とで、疑問文・否定文の作り方が違うこと」の理解、具体的には、Are you play tennis? (正しくはDo you play tennis?)のような文を作らないことが何より大事です。また、それに加えて、「書ける」一般動詞の数を増やすことも大切です。小学校時代は単語を「書く」ことまでは求められませんでしたが、中学校の定期テストでは「書く」ことができないと得点につながりません。ジェイのカリキュラムでも一般動詞の導入を従来よりもかなり早めている他、単語が「書けるか」を見るために基礎力トレーニングを実施していますので、1学期の期末テスト前までの間は、ご家庭でも日々の基礎力トレーニングの結果を定期的にチェックしていただきたいと思います。


【新中2生】

特に1学期に習う内容としては、5文型と従属節を用いた接続詞の文が注意ポイントです。従来の教科書ではcall AB, make ABなどのフレーズは出てきましたが、高校英語のように文型を中心に教えるページはありませんでした。しかし、新しい教科書では、「5つの文構造」という章立てで、5文型について扱っています。5文型を考える際、生徒さんにとっては「補語」の理解がなかなか定着しないことが多いようです。ジェイでは春休みにこの文型を授業で扱いましたが、特に補語と目的語の区別がつくように、1学期の間にしっかり勉強してもらいたいと思います。

また、中2で習う他の重要単元に不定詞と動名詞があります。特に不定詞については、旧版の教科書では、姫路では2学期に、西播では1学期に習っていましたが、新教科書では1学期に習うことで統一されました。不定詞は用法によって訳し方が異なりますので、それぞれの用法の理解をしっかり行いましょう。


【新中3生】

 文法単元としては、現在完了進行形・仮定法・原形不定詞など、従来は高校の範囲であった単元が、中3に下りてきます。また、旧教科書では2学期に習っていたwant O to doなどの不定詞の拡張も、前倒しで学習することになります。

学校では1学期に現在完了・現在完了進行形を習いますが、この現在完了の考え方に慣れることを当面の目標としていただきたいと思います。現在完了はあくまで「現在」に視点を置いて、そこから過去を振り返る時制です。これを理解しないと、「過去」との区別がつかなくなってしまいます。この理解ができていると、そこから現在完了進行形を理解することはそれほど難しいものではないと思います。

メディア等で取り上げられることの多いのは仮定法ですが、New Horizonでは、”I wish I had pens and notebooks.”や“If I were a Japanese student, I would send my old backpack.”など、いわゆる仮定法過去の文が記載されています。学校の授業でこの仮定法が扱われるのは、標準進度では11月ごろですが、ジェイではその少し前、10月ごろに塾の授業で扱う予定になっています。


難度が増す教科書に対応するため、ジェイでもカリキュラムの修正や新規教材の導入を行ってまいります。