ジェイ文庫の紹介『コーヒーの化学 「おいしさ」はどこで生まれるのか』
【 ジェイ教育セミナー大津校 中森 】
今回は、ジェイ文庫の書籍紹介です。
旦部幸博『コーヒーの化学 「おいしさ」はどこで生まれるのか』
がんに関する医学博士でもある筆者が、コーヒー好きが高じて出版した一冊です。
コーヒーとはどのような木になるのか、どんな品種があるのか。どのように焙煎、抽出するといいのか。コーヒーの味の謎とは。コーヒーに含まれる成分、香りの元は何なのか。などなど、あらゆる方向から、科学者らしくデータを駆使したアプローチで切り込んでゆきます。
巻末には参考文献一覧と索引が付属し、さながら研究書のよう。
こうした文章になじみが薄いみなさんも多いかもしれませんが、「興味ないから」とか、「何か難しそう」で避けてしまうのはちょっぴりもったいない気がします。
最初は興味がなくても、読んでいるうちに、筆者の情熱にあてられて「もっと知りたい!」となるかもしれません。頑張って読み通したら、いっぱしのコーヒー博士です。
実はコーヒーを飲んだことがない人でも、「こんなにコーヒー好きな人がいるなんて…、自分もちょっと飲んでみようかな」なんて思うかもしれません。
また、「何か難しそう」というのは確かにその通りですが、医学博士の筆者も、もともとコーヒーは専門外です。
難しいことを手探りで研究している筆者を想像し、一緒に研究するつもりで読めば、難しさも前進する楽しさだと思えてきそうです。
最後に、こうした本を読むときにお勧めの読書スタイルを、二通りご紹介します。
①筆者は様々な分野の専門書からデータを集め、分析しています。「すごい!」と感じる部分が見つかったら、そのすごさを理解するために、自分でも別の本を探して読んでみましょう。
たとえば香りや味に関する科学、植物学など。関連項目をたどって知識を広げると、一冊の本の見え方もどんどん変化します。
②どれだけ専門的なデータが活用されていても、一冊ですべての研究領域をカバーすることはできません。
「物足りない!」と感じる部分が見つかったらチャンスです。そここそがあなたの未来の専門分野になる可能性は大です。
「この筆者を超えてやろう!」くらいの意気込みで調べ物に取り組み、自分だけの研究を深めていきましょう。
この本はジェイ文庫に入っています。科学分野に強い講談社ブルーバックスの一冊です。ブルーバックスのシリーズには、ほかにも様々な題材を科学的に研究した本がたくさんあるので、ぜひ手に取ってみてください。