雑感


  【 ジェイ教育セミナー西飾磨校 淡井 】


夏至に入りました。いかがお過ごしでしょうか。私はといえば、この時節が苦手です。旬の実山椒の佃煮を食べて、心身ともにピリッとしたいと思います。

さて、最近私が読み進めている本の一つに、『最後の防衛線 危機と日本銀行』(中曽宏著)があります。これを購入した動機は主に2つです。まずは中学3年生対象の「社会特訓」の授業に生かせればと考えたことです。次に、金融危機を扱う本は面白いものが多いのです。たとえば、『リーマン・ショック・コンフィデンシャル』、『IMF』、『ガイトナー回顧録』、『1997年-世界を変えた金融危機』などどれも面白いものでした。

そこで、先ほどの本についてですが、中曽宏氏は日本銀行の担当者の1人として、バブル経済後の金融危機に臨みます。その危機に対処するのに、10兆円かかると日本銀行は予想します。しかし実際は100兆円以上かかることになりました。この誤算の原因は何だったのか。「楽観的な見通し」という言葉が筆者によって語られます。すなわち、待てばそのうち事態は好転するのではという当事者たちの希望的観測がありました。それだけが理由でないとしても、対処が後手になり、費用も膨らみました。同時に、長期の不景気にもつながっていったのでした。

この希望的観測というのは、個人の生活にも顔をのぞかせるものではないでしょうか。たとえば、「今理解できなくても(そのうち分かる)。」あるいは、「今やらなくても(そのうちやるさ)。」といった具合です。これは未来の自分への希望的観測です。ただ、私の経験上、未来の自分はあてになりません。みなさんはどうでしょうか。未来の自分に期待しすぎないことが大事かと思います。そうではなく、今の自分が行動を開始しないと最悪の場合どうなるか。逆に、今の自分が行動すると、未来の自分に何を与えられそうか。この2点に注意すれば、この夏が有意義なものになるかと思います。(私もさっそく仕事にかかります。)