推しを継ぐもの


 【 ジェイ教育セミナー手柄駅東校 久米田 】


自分にとってイチオシの人やキャラクター(推し)を応援し、ライブやイベントに参加したり、グッズを購入したり、推しに関わる推しのための活動を「推し活」といいます。まさかこの年齢になって自分が「推し活」するとは思ってもいませんでした。


2月に神戸で開催された「大英博物館ミイラ展」を訪れたことから、エジプト神に「メジェド」という神様がいることを知り、その尊く愛らしい風貌の虜になりました。以降、キーホルダー、くつしたなどメジェド神グッズを収集する日々です。


メジェド神とは「死者の書」第17章に描かれている神様で、その名は「打ち倒すもの」を意味します。頭からすっぽりかぶった白い布に目だけついているゆでたまごのような御姿ですが、人間の心臓を主食とし、目からビームを出して敵を焼き払うやんちゃな一面もあります。オシリス神やアヌビス神、バステト神のようにメジャーでもなく、何だかよくわかっていない神様で、謎めいているところも魅力です。今すぐ検索することをお勧めします。



神様といえば、今月は旧暦で「神無月(かんなづき)」といいます。その由来はご存知でしょうか。

全国の八百万の神々が、出雲大社でおこなわれる会議(縁結びや天候などが議題)に出席するために、それぞれの土地を離れてしまうことから、10月を神様がいなくなる月(神無月)と呼び、逆に神様が集まる出雲(島根県)では「神在月(かみありつき)」と呼ぶようになりました(諸説あります)。


さて、あまり知られていない話ですが、実は出雲地方以外にも「神在月」を使う地方があります。『狂骨の夢』(京極夏彦)の作中には、石川県能登半島にある志乎(しお)神社あたりでは「神在月」と呼んでいるという話が出てきます。この神社の祭神は「鍵取大明神」と称する鍵の神様。つまり、他の神様が出張中に鍵をかけて留守番役として残らないといけないため、この地方では「神在月」となっているのです。


また、長野県諏訪市の神様も居残り組です。伝承によれば、諏訪大社の神様(諏訪明神)は巨大な龍神で、あまりに巨体であるために、「わざわざ出雲までやってくるのは大変であろう」と他の神々の配慮により、会議出席を免除されているとか。


そういえば、『塗仏の宴 /宴の始末』(京極夏彦)に、西国にいくつかある兵主(ひょうず)神社は、河童に似た妖怪「ひょうすべ」と関係しており、姫路城近くの播磨国総社としておなじみの「射楯兵主(いたてひょうず)神社」も同じ由来を持っている、と書かれています。姫路市に近い福崎町に河童の伝説が残っているのも何か関係があるのかもしれません。機会があれば詳しく調べてみようと思っているのですが、やろうやろうと思うだけで先延ばしになっているのは、自分のダイエットと同じです。


みなさんも近所の史跡や地名の由来を調べてみると、意外な発見があるかもしれませんね。