友人
【 ジェイ教育セミナー手柄駅東校 久米田 】
いきなりですが、新年に届いた年賀状、友人からは4枚でした。高校生のときの友人から1枚、大学生のときの友人から3枚です。年々減ってきています。生徒たちに聞くと、ラインなどで新年の挨拶を済ませているようですし、そろそろ自分もデジタルに切り替えるべきか悩んでいます。
さて、話題のインド映画『RRR』を観て(すごい。何というか、とにかくすごい)、友情についてあらためて考えさせられました。
鎌倉時代の随筆『徒然草』の中で、吉田兼好はこんなことを書いています。
友とするに悪き者、七つあり
一つには、高く、やんごとなき人
二つには、若き人
三つには、病なく、身強き人
四つには、酒を好む人
五つには、たけく、勇める兵
六つには、虚言する人
七つには、欲深き人
よき友、三つあり
一つには、物くるゝ友
二つには医師
三つには、知恵ある友
【現代語訳】
友とするのに悪い者が七つある。一つには、身分が高く高貴な人。二つには、若い人。三つには病が無く健康な人。四つには、酒を好む人。五つには、猛々しく勇ましい武士。六つには、嘘をつく人。七つには、欲の深い人。
よき友が三つある。一つには、物をくれる友。二つには、医者。三つには、知恵ある友。
相手の身分が高いと気を遣うし、ジェネレーションギャップがあって若い人とは話が合わないし、酔っ払い、暴力をふるう人間、嘘つき、欲張りなどは友達にしたくない・・・というのは、小中学生の皆さんもわかるでしょう。では、健康な人間とは友達になれない、とは何なのか。若い皆さんは不思議に思うかもしれませんが、私は自身を振り返ると、深く頷くものがあります。20代後半ごろから、友人と会うと「体脂肪率が40%を超えた」「血液のγ-GTP値が高くてアルコールを控えてる」「近くの字がぼやけて見にくい」「3階まで階段で上がったら息切れした」「腰が痛い」など、お互い、いかにひどい疾病を抱えているかを自慢しあうようになっていました。同じ苦しみを共有する戦友のような感覚とでも言いましょうか。「え?オレはいたって健康だけど?へー、不摂生なひとは色々大変だね」などと言い放つ人間とは朋友になれぬ!と思ってしまうのは、鎌倉時代から決まっていることなのです。
ところで、「よき友」として、まず「物くるゝ友」を挙げているのが兼好らしくて好きなのですが、私が今から医者になるのは現実的ではないので、せめて周囲の人々には気前の良い知恵のある友人でありたいというのが、今年の抱負です。