RRR【Review(復習)・Repeat(繰り返し)・Remember(思い出す)】


【 ジェイ教育セミナー手柄駅東校 久米田 】


「先生、英単語はどうやったら覚えられるんですか」

「先生、せっかく覚えてもすぐ忘れるので、ぼくはもうイヤになりました」

毎年、教室では同じようなセリフを同じような顔つきで生徒がこぼします。


そうだね、君たちの先輩も同じことを言っていたよ。

残念ながら楽に覚える方法はありませんが、効率的に覚える方法ならあります。

まずは脳のしくみを知りましょう。

記憶には、一時的な記憶を保管する「短期記憶」と、比較的長い間保持する「長期記憶」があります。せっかく覚えたのにもう忘れた!という人は、短期記憶から長期記憶に情報を移せていないからですね。

「ぼくは頭悪いからすぐ忘れるんや」という人もいますが、実は、忘れる速さに関して個人差はほとんどありません


人がどれくらいの速さで忘れるかを表した「エビングハウスの忘却曲線」というグラフがあります。これによると、覚えた4時間後に50%を忘れ、24時間後には74%、1週間後には77%、1ヶ月後には79%の情報を忘れてしまうようです。4時間たつと、半分も忘れてしまう……生徒たちが絶望するのもわかります。

しかし、安心してください。このグラフには節約率(忘れた知識を再び学習する際に、どれくらい時間を節約できるか)も示されており、60分後では44%、1日後では34%、1ヶ月後では21%となります。たとえば、初めて学習する際に10分かけて覚えたことは、60分後に再び記憶するときには44%の時間を節約、つまり5〜6分で記憶することができることになります。つまり、忘れてしまった記憶は完全に消えてしまったわけではなく、思い出せないだけで潜在記憶には残っており、反復学習(復習)により、どんどん覚える速さも定着度も上がるようになっていくのです。


では、どのタイミングで復習するのが良いのか。1ヶ月でほとんど忘れてしまいますので、復習するなら少なくとも1ヶ月以内にすべきなのは確かです。

というわけで、効率的な復習スケジュールは次のようになります。


1回目 : 学習した日の翌日

2回目 : 1回目の復習の1週間後

3回目 : 2回目の復習の2週間後

4回目 : 3回目の復習の4週間後


全4回の復習を2ヶ月かけて行えば、しっかり長期記憶に残ることになります。

なお、復習効果は「同じ内容のもの」に対して生じます。いろいろな参考書や問題集に手を出すのではなく、同じテキストを何度も繰り返したほうが、効果が高いと言えるでしょう。


さて、情報を短期記憶から長期記憶に移す脳の部位を「海馬」といいます。この海馬を刺激するほど、記憶は定着しやすくなります。では、どのようなことで海馬は刺激されるのでしょう。

ひとつは、「好奇心」です。興味を持ったことは覚えやすい、ということです。嫌々覚えると、復習回数も余分に増え、つらい時間ものびていきます。頭から「つまらない、意味がない」と決めつけるのではなく、新しいことを知るのは楽しい!もっと知りたい!と自己暗示をかけて覚えましょう。

もうひとつは「感動」です。感情が絡んだ経験は覚えやすい、ということです。大自然の中で暮らしている動物たちは、常に生命の危機にさらされています。そのため、動物には敵に会って恐怖を感じた状況や、エサをみつけた場所といった重要情報をしっかりと記憶しておくことが必要になります。こういったしくみは現代人の脳にも残されているため、感情が大きく動くときは、ものごとを記憶しやすいのです。

生命の危機を感じると脳のパフォーマンスが上がるしくみを応用した学習法もあります。たとえば、生物にとって空腹は危機的状況です。お腹がふくれた食後よりも、空腹を覚える朝食前や夕食前が、学習には適切な時間と言えるでしょう。また、冬は獲物をとりにくく危機を感じるため、気温は低めのほうが学習効率も上がるようです。ただ、ストレスが多すぎると却って効率は悪くなるので、ほどほどに。


自分で工夫し、自分にあった学習方法を編みだしていくのも、勉強の楽しみのひとつです。なかなか単語を覚えられない、と悩んでいる人は、今回のブログを参考にしてみてください。

まとめ

忘れるのは当たり前。復習が絶対に必要!

興味をもって覚えたことは、忘れにくい!

感情に絡めて覚えたことは、忘れにくい!

危機的状況で学習すると、効率がいい!