『燃』と『暮』の話


 【 ジェイ教育セミナー大津校 中森 】


先日、小学生に国語の授業をしているときに、こんな話をしました。

「『燃』や『暮』って、実は少し不思議な字だよね。」


さて、いったい何が不思議なのでしょうか。

実はこれらは、ひとつの字の中に同じ意味を表す部分をふたつ含んでいるのです。

具体的に言うと『燃』には「火」の意味が「れっか」と「ひへん」のふたつの形で入っています。「暮」は「日」がふたつ。「燃」は、もともと「然」一字で表しました。漢文でも「然(も)ゆ」のように訓読することがあります。しかし時代が下り、「然」は「自然」「悠然」「依然」のように「そうである」という意味となったり、接続詞として「けれども」という意味で使われるようになったりしました。その結果、「然(も)ゆ」の意味が分かりにくくなり、区別のためにさらに「火」を加えて「燃」という字が生まれたのです。

日暮れを表す「暮」も、もともと「莫」という字でした。しかしこの「莫」、「無」という字と同じように、「ない」という意味を表すためにも使われるようになりました。その後「暮」が生まれる流れは「燃」と同様です。

他には「源」という字も似た成り立ちです。もともと「原」だけで「みずのわきでるところ」を表したこの字、がんだれの中は古くは「泉」と書きました。しかし、「原」が「平原・高原」を表すようになり、本来の意味を表すために「さんずい」を加えたわけです。現代でも「原因」や「原始」など、「みずのわきでるところ → ものごとのはじまり」を意味する熟語はたくさん残っていますね。


このような話を読んで、「漢字や言葉って面白い!」となるか…「漢字ってわけがわからない......」となるか…。

たしかにテストで間違えてしまうと「嫌だ」という気持ちが出てくることはありますが、やっぱり「面白い!」と思いながら勉強をする方が頭の中に残りますし、何より机に向かうことが楽しくなります。

漢字には簡単な文字、難しい文字、身近な文字やまったく知らない文字、人名に使われているから知っているけれど普段は使わない文字など、いろいろなものがあり、それら一つ一つに意味と歴史があります。楽しいですよね。


今は、暑い盛りの夏休みですね。

ところで「暑」という字の成り立ちは? 調べてみたら面白いことがわかるかもしれませんよ。