学習の秋


 【 ジェイ教育セミナー西飾磨校 淡井 】


今年の夏は異常な暑さでした。さらに、残暑が続き、本当に苦しめられました。しかし、10月に入ると暑さは鮮やかに消えました。その去り際の見事さも、印象に残るものでした。

さて、先日の弱点補強講座でも印象に残ることがありましたので、お伝えします。ある小学5年生の生徒が、9月の公開テストを持ってやって来ました。算数で分からない問題があるとのことで、一緒に考えてみました。

それは平行四辺形が組み合わされた図の中の、いくつかの辺の長さを求めるものでした。

「まず、問題から分かっていることを図に書きこんでみて。」

生徒の手元を見ると、正解までには手助けが必要でした。

「ああ、なるほど。平行四辺形って、どんな四角形だっけ。あと、この問題って、あちこちに平行四辺形があるね。」

「向かい合う辺の長さが同じ、あっ。」

この生徒の手がどんどん動き、正解までたどり着きました。

「OK。でも、どうやったら、公開テストの時に解けてたかな。」

「平行四辺形のことを思い出してたら、よかった。」

「そうそう。次からは図形の特徴を思い出すといいな。で、次どうする?」

「似たような問題をやりたい。」

この生徒は、①自分の手で正解を導く②定理の大事さという今後に生きる教訓を得る③さらに練習する、という過程をたどりました。立派な学習態度だと感じます。

もちろん、なかなかこれほど順調にはいかないものです。先延ばし、学習ではなく作業に終始、といった負の学習。しかしながら、もし苦労せずとも、みんながみんな、学習が上手であれば、私たち塾講師の立つ瀬はありません。うまくいかない時、どう働きかけるか。私の「学習」の重要な単元です。日々悩み、本を求め、社内の研修会に出席しつつ、心の中に浮かぶ人がいます。

佐藤清さんは、日本生命の営業部門の管理職として、また早稲田大学野球部監督、さらに城西国際大学野球部監督として、多くの若者に関わってこられました。お言葉を『監督と大学野球2 伸びてゆく力』(安部昌彦著)から引用します。

「知らないんやから、教えなアカン。やれるようになるまで、こっちもお付き合い。」

「あとちょっとの頑張り、あとちょっとの辛抱。ちょっとが大事や。(中略)これができなくて、あとでひっくり返されたことが何度あったか・・・。」

「1回ですぐ理解できない。教えたことをすぐできない。なかなかうまくいかない。そこをまた教える根気。よし、また教えたるか。これが楽しいよね。」

「失敗、ミス、たくさんあるから面白い。(中略)よっしゃ、分かった、また練習しよ。練習する、上手くなる、そこが楽しい。やっと上手くなったなぁ思ったら、またエラーや。だからもっと面白い。」

2学期の単元、なかなか難しいですよね。さあ、今日もいっしょに学習しよう。失敗やミスをするのが普通。頭が悪いから間違うのではなく、頑張っているから間違う。これは、きれいごとではなく、私の本心です。