わが家の常識~世間の非常識


 【 ジェイ教育セミナー本部 山脇 】


たぶん・・・どんな家庭にもその家だけに通じるルールがあって、何年も暮らしているとそれが当たり前になり家の中では〝常識″になっていくのですが、そういうのは往々にして世間とはずれていたりします。まあ、「うちは変わっているからなぁ…」と分かっていれば問題はないのですが、ずれていることに気付かず世の中に出て行くと大なり小なり恥をかきます。


(子どもの頃の)うちの家は変わっていてまわりの家とは明らかに常識が違っていました。例えば『誕生日』。ふつう両親はもちろん、祖父母や兄弟からも「お誕生日おめでとう!」と言ってプレゼントをもらうものですが、我が家は「産んでくれてありがとう」と言って感謝の気持ちを渡す(=プレゼントを渡す)のがルールです。また、お年玉も世間では子どもがもらう臨時収入ですが、我が家では帰省しても帰宅後に回収されてもどってきません。父親曰く「お父さんが親戚の子にお年玉を渡すから、親戚のおじさんたちがお前にお年玉をくれる。もしお父さんが親戚の子にお年玉を渡さなかったら、親戚の人もくれることはない。したがってお前がもらうお年玉はお父さんのお金やから返すのが筋やろ。」と。

まあ、こういう我が家の〝常識″は教育の一環なのかとも諦めていましたが、成長期に最も辛かったのが「おかずは一品」のルールです。正月に食べる『スキヤキ』以外は、「おかずは一品」のみ。当然弁当のおかずも一品しか入っていないので、弁当を食べるのが恥ずかしかったのを覚えています。天ぷらも必ず一種類しか出てきません。なので、母親は「今日は何の天ぷらにしようか?」と聞いてきます。天ぷらはネタを指定して作ってもらうのが〝常識″でした。さらに我が家はめったに外食をしなかったので、私は〝非常識″のまま大人になってしまいました。

大学生になり、友達と4人である定食屋に入ったときのことです。私はメニューにあった『天ぷら定食』を食べようと思い、店員の女の子に「ぼく、レンコンの天ぷら定食ください。」と注文をすると、「天ぷら定食はエビ、ナス、レンコン…とか入っているので…?」と困惑しているところへさらに、「レンコンはないの?何の天ぷら定食やったらあるん?」とムキになっていると、店のおじさんが「にいちゃん、天ぷら定食はふつういろいろ入っているんやで、レンコンだけの天ぷら定食なんてあるかいな。おもろいなぁ。」と実物を見せながら教えてくれました。当然まわりの友達は抱腹絶倒状態。それ以来しばらく定食を食べに行くたびにからかわれました。まあこれは笑いで済んだ我が家の〝常識″ですが、この場では紹介できないのも多々あります。


みなさんの家にも我が家だけの〝常識″がきっとあると思いますが、社会に出るときは確認を怠らないようにしておいてください。