ホタル飼っていました


【 ジェイ教育セミナー大津校 橋本 】


みなさんこんにちは、お久しぶりのハシヒデです(最近登場回数が減っているような気がするのは気のせい?)。「あちゃ~ハシヒデかよ~」と思った方はスキップで次回をお楽しみにしてください🙇


ヒトの世界はこの数年コロナに翻弄され、生活様式が変わってしまったような感さえあります。しかしその間、自然はというと何も変わらず連綿とその様態を紡ぎ続けているように思います。

そんな自然について毎年この時期になると思い出すことがあります、今回はそのお話です。


ハシヒデ君が中学2年のときです。新学年が始まってすぐの理科の授業で、当時の理科の先生から「ホタルを飼ってみないか?」と声をかけられました。理科大好き少年(って、ただの汗臭い坊主頭の兵庫県相生市立矢野川中学校野球部男子です💦)のハシヒデ君は深く考えず「やりますっ!」と即返事。仲良しの同級生と2人で先生のアドバイスをいただきながら始めることにしました。

飼育といってもまずは場所です。計画ではまずゲンジボタルの成虫を捕獲して飼育・産卵させます。よって、そのための成虫の生育環境を作らねばなりません。校長先生にお願いして職員室横の廊下の1m四方を飼育スペースとして貸してもらい、縦横1m、高さ1.5mの手作り飼育小屋(木枠を組み立てて板屋根を張り、周りを網で巻いたものです)を作りました。


次にそこへ川砂や土を入れ、水際に自生する植物を植えて川辺の環境を再現します。その小屋へ5月の晴れた夜に捕獲してきたゲンジボタルの成虫を放つのですが、ホタルは環境の変化に大変弱くすぐに死んでしまいます。何度もトライしてようやく飼育箱の中で定着する個体が出てきました。

しばらくして無事産卵したことを確認し、次は卵を理科室に設置した水槽に移します。ここからが大変。水槽の大きさは40㎝×25㎝×30㎝ほどの普通に魚を飼う水槽ですが、環境を変えないため水道水は使えません(幼虫が死んでしまいます)。成虫を捕獲した場所の河川水を汲み、餌となるカワニナという淡水の巻き貝を取ってきて与えます(タニシはだめでカワニナなんです)。ホタルの幼虫はなかなかグロテスクな姿で幼虫は食欲がすごい。どんどんカワニナを食べて大きくなり脱皮するので、すぐに水が汚れてきます。夏場は気温も高く水が傷みやすくて2日に1回、秋から冬でも3日に1回くらいの頻度で水替えをしていました。冬の水替えは冷たい作業ですが、とても楽しかったですね。ホタルにとっても天敵がいない環境なので意外と快適だったかもしれません(笑)。


脱皮を繰り返しながら年を越え、やがて5齢幼虫くらいになるとかなり大きくなってきます(ただしグロなまま)。4月を迎えて中3になるころ、幼虫を水槽から前年に作った小屋に移して成虫になるのを待ちます。5月中旬ごろだったと思います。夕暮れ時、部活終わって帰り際に小屋をのぞいてみると、仄かに点滅する黄色い光が見えるではありませんか!「よっしゃー!!!」と小躍りしたのを覚えています。その日以降、日ごとに光の数は増えていきました。

最終的に無事成虫になれたのは十数匹程度だったと思います。天敵がいない環境でも、水温の変化や餌の量などわずかの要因で幼虫が死んでいき、成虫になることの厳しさを知りました。中3の夏休みに2人で飼育記録をノートにまとめて理科の自由研究として先生に提出しました。当時はインターネットやプリンターもなかったので、わからないことは書籍で調べ、写真は写真屋さんで現像してもらってと受験学年の中学生にとっては大変な作業でしたが勉強になりました。拙い出来上がりでも先生はしっかり評価してくださいました。それもうれしかったです。


今から思うと、よくあんなことやってたな~と思いますが、成功も失敗も大変貴重な経験だったと思います。「やってみよう」のきっかけを与えて下さり、時には厳しく時には温かく見守りながらご指導下さった理科の先生には本当に感謝しています。ちなみにその先生は若いころ、海辺の生物を採集するため夏の日中に一日中前かがみで作業して背中を火傷してしまったというレアな先生です。理科の授業を受けると身の回りの「なぜ?」が次々と解明されていく。そんな授業がめちゃめちゃ楽しかったこともホタル飼育と合わせてよき思い出です。 


PS ホタルを捕獲した場所はいまでもたくさんのゲンジボタルが見られますが、環境を守るため場所は秘密です。ご容赦ください🙇