期末考査が終わったら


【 ジェイ教育セミナー龍野校 淡井 】


気温が上昇し、たつの市街を囲む山も見事な緑となっています。その形ですが、茶碗によそったご飯をひっくり返したように、低く丸い稜線が連なっています。塾生の中には、「ほんま田舎」という子もいますが、いつかは、どこか人なつっこいような形の山々をなつかしく思うこともあろうかと思います。

さて、その龍野校の塾生たちですが、期末考査を終えた生徒はまだ一握りで、今もテストに備え学習している子がほとんどです。今日は、テストが終わり、平常授業が再開すれば、塾生にお伝えしたいことを述べようかと思います。


・テストで、できなかった問題を分類しよう。

(a)初めて見た気がする問題
それはどこから出題されたのでしょうか。学校のワーク、学校で配られたプリント、学校でとったノート、教科書、資料集のどれでしょうか。あるいは、ジェイの定期考査対策教材に類題はありませんか。なぜ、出題元を探してほしいのか。それは、自分が、どの教材をおろそかにしがちかを確認するためです。かつて、私が大津校勤務時のことです。中学2年生のある塾生が、定期考査で、びっくりするくらい順位を上げたことがありました。その子に取材すると、まさに、自分のおろそかにしがちな教材に時間を多く配分するという工夫をされていたのでした。「白プリを今までの倍は繰り返しました。」というセリフが思い出されます。

(b)答えを見たら、そうなると分かるが、テスト中思い出せなかった問題
自分はこの問題はできる、という判断が甘かったということでしょう。試験において、できるようになったからOK、とはどのレベルでしょうか。「他の人の説明を聞いて理解できるだけでなく、自分で内容を説明できないとダメなのです。(1)」だから、今後も授業中、「どういうこと?」「知っていることを教えて」という発問をしていきますね。

(c)なんで、こんなミスをしたのだろうという問題
設問を読んでいる途中で、「あっ、分かる。答えはこれ。」と誤答に飛びつきませんでしたか。そもそも設問は答えに至るヒントのはず。たとえば、中2のみなさん、英語で、「~した」を読み飛ばして、現在形で書きませんでしたか。(対策授業中でも、よくあるミスでした。)もしかして時間が足りなくなるのでは、という心配があったのでしょうか。「解くのが遅い人」は「読むのが遅い人」ではありません。おそらく「迷っている時間が長い人」です。私自身もかつて、受験生でした。国語、英語で「超長文」を出題する大学の過去問を解いた際、選択肢の判断で迷っている時間をストップウォッチで測るよう、ある予備校講師に言われたことがあります。制限時間90分に対して、初回は、確か迷う時間が20分を超えていたと思います。これでは駄目だと痛感しました。迷わないため、正確に読みましょう。正確に読む、というスキルを一緒に向上させましょう。

(d)概念を混同した問題
中3の社会では、日清戦争と日露戦争の違い、第一次世界大戦と第二次世界大戦の違い、さらにその両大戦後の国際的な枠組みの違いを押さえておく必要がありました。「治安維持法」と書くべきところを、「国家総動員法」と書いたりしませんでしたか。平常授業、対策授業で、私も配慮したのですが、どうでしたか。つまり、紛らわしいことを表にしたり、複雑なことを箇条書きでまとめたり、という試みを紹介しました。みなさんも「定期考査対策冊子」や「歴史チャート」に気付いたことをどんどん書き込んでいきましょう。それが、印象に残すこと→テストで思い出すきっかけを増やすことになります。ただし、科学者の研究によると、教科書やワークの言葉をそのまま書くと、なかなか記憶に残らないようです。なるべく自分の言葉で。たとえば「世界恐慌で大国がバラバラに」といった言葉も立派な学習です。


・頭の良さ=知識の量+情報をどれだけうまく素早く処理できるか(2)

情報の処理能力には、もしかしたら才能の差は存在するもしれません。しかし、知識の量はどんどん増やせる、これは学習を研究する科学者が合意するところです。だから、「あの子は天才だから、成績がいい。」あるいは、「成績は才能で決まる」と決めつけないでください。一緒に知識の量を増やしましょう。一緒に頑張りましょう。他の塾生が頑張る姿を見て、励まされる。また、自分の頑張る姿が誰かを励ましている。そんな龍野校でありたいですね。


(1)、(2)ともに、ダニエル・T・ウィリンガム 『教師の勝算』よりの引用です。

この文章を書くにあたって、以下を参照しています。
ダニエル・T・ウィリンガム 『教師の勝算』東洋館出版社、『勉強脳』東洋経済新報社
海保博之『学習力トレーニング』岩波ジュニア新書468
富田一彦『キミは何のために勉強するのか』大和書房