夏の風物詩


【 ジェイ教育セミナー本部 寺田 】


夏と聞けばまず何を連想しますか?


夏の風物詩には、様々なものがありますよね。

例えば、かき氷、スイカ、そうめん、枝豆、うなぎ、トウモロコシなどなど…食べ物ばかりになってしまいました。行事では、盆踊り、花火大会、高校野球、夏祭り、大文字焼き、などでしょうか。他にも、朝顔、入道雲、ひまわり、カブトムシ、蛍、風鈴、団扇(うちわ)、麦わら帽子、浴衣(ゆかた)など。さらに、海水浴、金魚すくい、行水、蚊帳(かや)、蚊取り線香、簾(すだれ)、挙げていくときりがないくらい多いのです。

しかし、今ではずいぶんとご無沙汰になったものもありますね。蛍や蚊取り線香(煙がでるもの)など、近辺では見られなくなりました。行水なんて今時、シャワーがあるので、知らない人の方が多くなったのでしょうか。


個人的には、何と言っても夏といえば、蝉の声です。朝方早くから、やかましく鳴いている蝉の声が聞こえるようになると「夏だなあ」としみじみ思うのです。通勤前に、公園の木々で鳴く蝉の声を聞くことがあります。じっと佇んで聞いていると、すぐに思い浮かぶのが

閑さや 岩にしみ入る 蝉の声

松尾芭蕉が立石寺(山形県)で詠んだ俳句ですね。

ところで、蝉がなぜ鳴くのかというと、オスがあらん限りの大きな声で鳴くと、メスが聞き及んで飛んでくるからだそうです。それにしても、命短しの蝉が命を賭して鳴く様には、なにかしらこちらの胸をうつものがあります。

もうすぐ原爆投下の日が今年も来ようとしています。

そのときも、蝉はきっとあらん限りの声で鳴いていたのでしょう。


もう一つ個人的なこと。

蝉は短い命を賭して鳴いて、盆の来る前に死んでいきます。淡々として。その様には一切の迷いや動揺がありません。また、諦めや口惜しさとかもないのです。それが、私には不思議でなりません。


毎夏、蝉の喧しい鳴き声を聞くと、その不思議が「個人的な風物詩」です。