何度目かの「違う違う、そうじゃない」


 【 ジェイ教育セミナー手柄駅東校 久米田 】


夏期講習会、中2国語の最後の授業でほとんどの生徒が間違えた問題がありました。これは大人でも難しいと思います。

問:「重箱」と同じように、上の字を音、下の字を訓で読む熟語を次から一つ選び、記号で答えなさい。

ア 矢印   イ 駅前   ウ 牛肉   エ 係員 

おわかりでしょうか。ちなみに、みんな「ウ」を選んでいました。

・・・・正解は、「イ」です。といった瞬間、生徒たちに「先生、違うって!絶対『イ』じゃないって!」と一斉に言われたので、簡単に説明しました。


ただ、十分な時間をかけて説明できたわけではなく、「あの先生、何もわかってへんわ」と思って帰った生徒もいるかもしれないので、この場を借りてもう少し説明したいと思います。

音読みは「中国から伝わった読み方で、発音を聞いても意味がわかりにくい」
訓読みは「日本にあった言葉に漢字を当てた読み方で、発音で意味がわかる」

というふうに見分けるのが定番ですが、音訓を間違えやすい漢字も存在します。

愛(アイ)、悪(アク)、絵(エ)、駅(エキ)、菊(キク)、席(セキ)、肉(ニク)、百(ヒャク)、服(フク)、本(ホン)、毒(ドク)

いずれも音読みなのですが、「発音から意味がわかってしまう」ために訓読みに間違えやすい漢字です。音読みの特徴として「①『ン』で終わる、②読みが一つだけ※表外読みは除く、③拗音(小さい「やゆよ」)が入っている、④濁音やラ行で始まる、⑤送り仮名がつかない」などもあるようですが、「路(じ:訓読み)」や、「愛する(サ行変格活用)」といった例もあるので、よく出題される10個ほどを覚えてしまうのが手っ取り早いですね。


なお、複数の音読みを持つ漢字がありますが、これは伝来した時代によって発音が異なるためです。

呉音・・・日本に初めに伝わった発音で仏教用語など歴史の古い言葉で使われる。
例:明(ミョウ)、行(ギョウ)、武(ム)、文書(モンジョ)

漢音・・・7〜8世紀に遣唐使によってもたらされた唐の長安の発音。
例:明(メイ)、行(コウ)、武(ブ)、文書(ブンショ)

唐音・・・平安時代中期時代以降に伝わった発音。
例:明(ミン)、行(アン)、椅子(イス)

「留学生」は一般的に「リュウガクセイ(漢音)」と読みますが、「ルガクショウ(呉音)」と読むと、遣隋使や遣唐使とともに中国に渡り仏法を学ぶ学僧の意味になります。ですから、最澄や空海は「ルガクショウ」と呼ぶのが正しいといえます。


鳥取に「大山(標高1729m)」という中国地方最高峰の山がありますが、読み方は「ダイセン」です。『日本山名総覧』(武内正著 白山書房刊)によると、2万5000分の1地形図に載っている国内の山の数は1万6667。山を「セン」と呉音で読む山は、大山以外に蒜山(ひるぜん)や氷ノ山(ひょうのせん)など、わずか約80座。そのうち約70座が中国地方と兵庫県北部にあるそうですが、なぜこの地方だけに集中しているのかは諸説あってはっきりしません。

なお、大山は昔から「神がおわす聖なる山」としてあがめられており、そこに仏教的な要素が加わって、仏教で使われる「呉音」の読み方で「ダイセン」と呼ばれたのだと考えられています。


さて、9月14日〜16日にジェイの自然体験「大山登山」が行われます。健康診断会場でダイエットするよう指導された小太りの私も参加することになりました。当日までに少しでも脂肪を落とし体力をつけるべく、帰宅後、深夜ジョギングをしようと決意しました。まだ一日しか走っていませんが、前へ進もうという気持ちこそが大事だと思っています。

体力づくりといえば、鳥取県水木しげる記念館の、水木先生の名言を壁中に貼った部屋にこんな言葉がありました。

『困難に直面し、それを撃破するのは体力である、とぼくは今でも思っている』

やっぱり体力だよな!毎日腕立て伏せ30回やろう!と奮起して隣の妻を見ると、別の名言をじっと見つめていました。

『相手に何も要求しない。何も期待しない。(夫婦円満を長く続ける秘訣を聞かれて)』

背中に冷や汗が流れ、今度ビールを1ケース買って帰ろうと決意しました。まだ買っていませんが、ご機嫌を取ろうという気持ちこそが大事だと思っています。