前置詞の威力  


【 ジェイ教育セミナー大手前校 丸岡 】


講師の仕事を始めたころ、あるサイトで①I know Tom. ②I know about Tom. ③I know of Tom.の3パターンの違いについて分かりますか?と問いかけるものがありました。熟語集で丸暗記した記憶もないし頭の中に「?」が浮かび、そのままスルーして歳月が過ぎました。

講師として経験を積み重ねていき、いつしか前置詞を教える際にもイメージを伝えるようになりました。aboutはaroundと同じく「~の周り」を意味すること、ofはoff同様「分離」を意味することを教えていくうちにひょっとしてあの3パターンもこれで解決するのではと調べました。

上記の中で①はトムのことを外見も性格もあらゆることを一番よく知っていることを意味します。②はaroundからトムに関しての周辺知識をいろいろ持っており、「幅広く知っている」ことを意味しますが、トムの性格やら詳しいところまでは分からないことを意味します。③のofはトムくんが名札をしているとします。その名札を「分離」して名札しか自分の目の前にない場面をイメージしてみましょう。それは、彼の名前や学年くらいは知っているが、外見やましてや性格、その他は分からないことを意味します。つまり①がトムに関して一番よく分かっていて、③が一番分かっていないことを意味します。前置詞を理解することで、これに限らず色々なものがつながるようになります。それが自分の中で理解できた頃に、単に知識を伝えて「覚えろ!」という授業から、「なぜこの意味になるのか?」を意識させる授業に変わり始めたように思います。

そうはいっても中学生にこの知識を教える必要はないだろうと思っていたところ、昨年度の某私立高校でI know of him but don’t know him.から始まる形で出題されました。幸いそれを深く知らなくても答えられる文法問題でしたが(とはいえ簡単ではありませんが)、それを境にちょっと難しめのことも念のために伝えるようにせねばと思うようになりました。

受験当日に完璧な状態で挑めることなどまずありません。上記の知識を覚える前に、duringとwhileの違いを知らないといけませんし、12月の公開テストで正答率がすこぶる悪かったlet me know(わたしにしらせて)のフレーズを覚えなければなりません。(誤答例としてtellが多かったですがtellはtell 人 to不定詞の形が基本なのでknowという動詞の原形は持ってこれません。)知識にも優先順位があります。必要な知識を優先して覚えましょう。ですが、せっかく覚えてきた知識も人間なので「忘れる」は必ずあります。受験生の皆さん、この時期からはそういうこぼれ球を1個1個拾い上げていくのも必要です。勝負の冬を乗り切ってください。