「聞く=hear」と「聴く=listen」の違い
【 ジェイ教育セミナー本部 山脇 】
「聞く」という漢字で表すときの「きく」は、「見聞」「伝聞」「百聞」などいずれも自然と耳に入ってくるという意味で、「聴く」という漢字で表すときの「きく」は、「傾聴」「聴衆」「盗聴」などいずれも注意して「きく」という意味です。
つまり、「きく」という漢字はふつうは“聞”だが、身を入れて「きく」場合は“聴”であり、さらには聴いて大いに理解する場合は“聡”の字を「きく」という動詞で使うそうです。聡明な人というのは、耳できいてすっかりわかってしまう人という意味で使われているんですね。
ただし、「聞き耳を立てる」や「聞き惚れる」など複合語の場合は、積極的であっても「聞く」を使うのが一般的のようです。さらに「聞く」には、「言いつけを聞く」「忠告を聞く」のように、従うや受け入れるという意味もあります。
また“聴”という漢字に「聴し」と書いてなんと読むのかわかりますか? 実は、「聴し」と書いて「ゆるし」と発音するのです。相手をきちんと理解するために心傾けて相手の話を聞いてあげることがつまりは相手を受け止めてあげること=ゆるしにもなるってことなのでしょうか? う~ん…日本語って奥が深いですね~(笑)
漢字を分解しても、「聞」は門(家)の中で聞こえるものを聞いてるだけって感じですが、「聴」は耳・目・心を使ってよく聞くっていう意味にも見えますよね。
みなさんは学校でも塾でも授業をきちんと「聴く」ことができていますか?
同じ50分の授業でも、「聞いている」だけの人の学習量は、しっかり「聴いている」人の学習量の半分もないそうですよ!!
つまり、塾に来て授業中におしゃべりしている君! 実は50分授業を受けてもほとんど勉強していないのと同じです。来てもまったく意味がないのです!それどころかおしゃべりする声で友達の学習量をどんどん減らしてるんですよ!
その結果…逆に勉強する量が増えたりしていることにそろそろ気付きましょう!
【参考】
「聞」と「聴」の漢字の意味の違いについて、国語辞書は次のように記しています。
• 『日本国語大辞典』(小学館)・・・【聞】(ブン・モン)音を耳で感じ取る。自然に耳に入ってくる。聞いて知る。
【聴】(チョウ)聞こうとして聞く。注意してよく聞く。「聴聞」「傾聴」
• 『広辞苑』(岩波書店)・・・広く一般には「聞」を使い、注意深く耳を傾ける場合に「聴」を使う。
• 『類語国語辞典』(角川書店)・・・「聞く」は、音や声を耳に感じ認める意、「聴く」は、聞こえるものの内容を理解しようと思って進んできく意である。
このような意味の違いをもとに、日本新聞協会の『新聞用語集』は表記の使い分けを以下のように示しています。
• =聞〔一般用語〕うわさを聞く、聞き捨て、聞き流す、聞く耳持たぬ、話し声を聞く、物音を聞く
• =聴〔特殊用語。身を入れてきく〕聴く(音楽・講義・国民の声などを-)
〔注 「聞」「聴」は、きく態度によって使い分ける。どちらでもよいときにはなるべく「聞」を使う〕