明石散策


【 ジェイ教育セミナー大津校 中森 】


以前の記事で少し触れた『源氏物語』ゆかりの土地を訪ねる明石行ですが、先日実行してきました。

政治的な争いを避けて京の都を離れた主人公光源氏と明石の上との恋を描く一幕は『源氏物語』前半の見せ場の一つです。物語の堂々たるヒロインである紫の上と鮮やかに対比される明石の上。「明石」の一幕以降のストーリーでも、のちに都に移り住む明石の上は、ひときわ存在感を放ちます。ちなみに、この明石の上と源氏との間の娘が、後に帝の后となり、女性としての地位を極めることになります。


さて現代の明石行の話に戻りましょう。山陽電鉄明石駅のひとつ西の西新町駅で下車し、 【無量光寺】 へ。

『源氏物語』の主人公源氏の別邸のモデルと言われているらしく、源氏が恋人である明石の上の元へ通ったとされる「蔦の細道」が門前を伸びています。立札で由来が紹介されており、『源氏物語』目当ての観光客にも親切でした。

ところで 【無量光寺】 という名前、無量光はサンスクリット語の「アミターバ(=阿弥陀)」の訳語だったはず、そして「アミターバ」の音が「阿弥陀」になったと読んだ覚えがあるなあ、と思って調べてみると、やはり本尊は阿弥陀仏でした。

続いて無量光寺のすぐ隣の 【善楽寺】 へ。境内には明石の上の父である明石入道の碑がありました。また、ずいぶん立派な五輪塔があり、近づいて由来を読んでみると平清盛を供養する塔だということで驚きました。


さらにすぐ近くには 【伊弉諾(いざなぎ)神社】 と 【伊弉冊(いざなみ)神社】 がありました。国生みの神の名を冠した神社、由来が気になりつつも、まだ調べてはいません。

せっかくなのでと、そのまま海の見えるところまで歩いてみると、海沿いにふたつの 【蛭子(ひるこ)神社】 を発見(ひとつは「蛭児神社」と表記)。「イザナギとイザナミから生まれた骨のない子供が「ヒルコ」だったはず、先ほどの神社と何か関係あるのだろう」など、想像を膨らませながら海沿いを歩きました。波音と潮の香りを感じながらの散歩は、普段と違う時間感覚に包まれるようで、心地よいです。

ちなみに、後で調べてみると「蛭子(ひるこ)」は、七福神の一柱である神「蛭子(えびす・恵比寿)」につながるらしいですね。不勉強ながら存じませんでした、面白い。


海沿い散策ののちはずっと東に歩き、明石駅も越えて 【浜光明寺】 に立ち寄り、その後は明石城の公園を歩くなど、のんびりと散歩をしました。

ところで、明石城の近くにある、大きな 【兵庫県立図書館】 にも入ってみたかったのですが、当日は残念ながら閉館日。他にも 【文化博物館】 や 【天文化学館】 など、こころ惹かれる施設がたくさんある明石ですが、さすがにすべてを見て回るような時間は取れず、これらはまたの機会に。

明石駅の書店で『源氏物語』関連の本を一冊購入し、山陽電鉄明石駅から帰宅の途に就いたのでした。


そうそう、最後に明石で食べたもののことを。明石はタコが有名とは知っていましたが、これほど町中に「タコ」の看板やオブジェがあふれているとは思いませんでした。

この日は、明石の食といえばここ! なスポット 【魚の棚(うぉんたな)商店街】 で、明石焼きやさまざまな海産物を楽しみました。さすが明石、タコはもちろん、海産物がどれも新鮮で、何を食べてもおいしい。食事のためだけにまた来てみたいくらいです。みなさんも、明石に立ち寄ることがあったら、ぜひ海の幸を楽しんでください!